「おまえら何言ってんだよ!!」
「わかった」と言おうとした時、高村くんが教室に飛び込んできた。
「た、高村くん……!」
動揺しはじめる女子たち。
「何勝手なこと言ってんだよ。俺や中里が伊沢と仲良くしようが、おまえらには関係ねえだろ」
初めて見たけど……高村くん、怒ってる……?
高村くんはその大きく頼もしい背中で、あたしを庇うように立ちはだかる。
「おまえら、伊沢のつらさ考えたことあんのか?こいつがどんだけでっかい悩み抱えて、どんだけ苦しんでんのか考えてやったことあんのか!?」
高村くんの言葉に、クラスのみんなは訳がわからないといった様子。
それでも構わず、高村くんは続けた。
「伊沢(コイツ)のこと何も知らねえくせに、好き放題言ってるんじゃねえよ!!」
嬉しかった。高村くんがそうみんなに言ってくれて。
だけど、もういいよ。
みんなの言葉も一理あるし、あたしが最低な人間であることに変わりはない。
「ありがとう……高村くん。でも、もういいから……」