「どういう、こと……?」
いきなりのことに何も考えられない。
状況を理解しようと、かろうじてそれだけは言えた。
すると、他の女子が聞こえよがしに、
「まさか覚えてないのー? 裕菜ちゃん泣かせときながら、屋上で高村くんといちゃついてた伊沢さーん?」
ドクン、と心臓が跳ね上がる。
屋上で高村くんといたこと……誰かに見られてたんだ……。
否定も肯定もできない。
押し黙るあたしを、周りの女子たちが次々に責め立てた。
「忘れたとは言わせないわよ!」
「裕菜は何も悪いことなんて言ってなかったじゃん!」
「あんた裕菜の親友でしょ!?友達泣かせといて、謝りもしないで男と一緒にいたなんて最低!!」
──やめて。やめてよ。
わかってる。自分が最低だってことくらい、あたしが一番よくわかってる。
みんなが怒るのも無理ない。
だけど……
「みんな……あたしとひーの何を知ってんのよ……」