「あたしって……最低な人間だよね」


高村くんから返答はない。


「高村くんもそう思うでしょ?」


何でそんなことを聞いたのかわからない。


「そんなことないよ」って、優しく言ってほしかったのかな。



「──うん、最低だよ」



しばらくの沈黙のあと、高村くんはつぶやくように言った。


チクリと胸が痛む。

傷つく資格なんてない。あたしが最低なのは事実に違いないのに、高村くんに言われるとなんか少しショック。


思わず俯くと、高村くんがあたしの手を握った。



「でも……」


「え……?」


高村くんが、優しく微笑む。



「でも、好きだよ」



──やっぱり、君はバカだよ。高村くん。


あたしに優しくする必要なんてないのに。あたしは、優しくされる価値なんてないのに。



君はどうしてそんなに、あたしを一途に想ってくれるの?