ただのクラスメイトだったなら、あたしだってひーをただの“完璧な女の子”としか思わなかった。


ひーに憧れたとしても、妬むことはしなかったはずだ。



だとしても、今さらこんなことを言っても仕方ない。


それでも“親友”という究極の枷が、あたしを苦しめているのは確かだった。



「みんな……みんなひーばっかり。あたしだってそのすぐ隣にいるのに、誰もあたしのことなんか見てくれない……」


「うん」


高村くんは「うん」しか言ってくれない。
だけど、不思議とそれが心地良い。



「あたしはひーのおまけでも……引き立て役でもないんだから!」



青々とした空のもと、あたしは爆発した気持ちを吐き出した。



「──うん、知ってる」



『お前は“中里の友達”じゃなくて、“伊沢はるひ”だよ』



そんな言葉が、あたしの耳に優しく響いた──。