本当は嬉しい。
わざわざ、あたしなんかを心配して駆け付けてくれたんだから。


だけど、あたしは弱いから。
弱くて醜い人間だから。


“ありがとう”じゃなくて、こんなひねくれたことしか言えなかった。



「そっか……ごめん!でも俺、あんなにつらそうな顔してる伊沢を、ほっとくなんてできなかった。つか、ほっときたくないし」


あたしの隣に腰を下ろすと、高村くんはその大きくて温かい手で、あたしの頭を優しく撫でた。



「あたし……やっぱり、ひー嫌い……」


「うん」


「あんな純粋に笑ってられるひーなんて、大っ嫌い……」


「……うん」


「何で……あたしはひーの親友になっちゃったの……!」


そうだ。

ひーの親友じゃなければ、長い間一緒にいなければ、こんなにもひーに対してコンプレックスを抱くことはなかったかもしれない。