「はるとの思い出作りたい!」
──この時少し違和感を覚えた。
“思い出”なんて言葉を使って、まるでひーは明日いなくなっちゃうみたいな。
「ひー、それってどういう……」
「何してんの、はる!早く行くよ!」
だけど、ひーがあまりにも楽しそうに笑うから、あたしはそんなたいしたことじゃないんだろうと思って、深く問い詰めたりはしなかった。
そのあとは、高村くんに連絡して仲直りしたことと、今日はひーと遊ぶことにしたことを伝えた。
あたしが仲直りできたことを、自分のことのように喜んでくれた高村くん。
「浩也たちにはうまく言っとくから、楽しめるだけ楽しんできな」と、残して電話は切られた。
正直、はじめのうちは罪悪感があって心からは笑えなかった。
だけど、本当に楽しそうに笑うひーを見ていたら、今だけはいろんなことが忘れられて。
穏やかな気持ちで笑うことができた。
今日はそのまま、営業時間が終わるまで、あたしはひーと遊び尽くしていた──。