ひーとさっき別れたところにやってきたけど、あれから随分時間は経ってる。
当然のように、ひーの姿はどこにもなかった。
「……ひー……どこ?」
「──はる?」
思わずつぶやくと、自分を呼ぶ聞き慣れた声が耳に届いた。
勢いよく振り向くと、驚きと戸惑いを混ぜたような目をしているひーが立っていた。
「ひー……?」
「はる?……帰ったんじゃなかったの?」
遠慮がちに言うひーに、あたしはすかさず頭を下げた。
「ごめんなさい!」
ひーが、きょとんとして首を傾げる。
「あたし……ひーが絡まれてるのに、友達なのに助けもせずにどっか行っちゃって……。最低なことした……」
思わず目に涙が浮かぶ。
それを見て、ひーが珍しくおろおろしていた。
ずるいよね、あたしは泣く側じゃないのに。
泣きたいのはひーなのに。
だけど、言葉では説明できないぐちゃぐちゃした気持ちが溢れて、止めることができない。
「はる……顔上げて」