「してないよ。大好き」
さらりと、さも当たり前かのように言った。
「言っただろ。どんな伊沢でも、俺は……俺だけは受けとめてやるって」
あたしをまっすぐに捕える、揺るぎない強い瞳。
でも、その奥には深い優しさが光っている。
あたしを好きだと言ってくれた時と同じ……。
「確かに……伊沢は中里にひどいことをしたかもしんない。でも、罪悪感とか申し訳ないって気持ちをちゃんと持ってんだから、伊沢は最低な人間なんかじゃないよ」
「少なくとも俺はそう思う」と、笑いながら付け加えた。
ああ……この人はすごい。
空よりも広い心であたしを受けとめてくれて、海よりも深い愛情であたしの心を癒していく。
「──っ、あたし……ひーのところに行ってくる……!」
あたしは叫んで、ひーのもとへと駆け出す。
「ああ、行ってらっしゃい」
優しい笑顔で、高村くんはあたしに手を振った。
謝らなくちゃ……
ひーに謝らなくちゃ!