しばらく遊んでいるうちに、高村くんとの気まずさも消えていき、あたしはプールを満喫していた。
こんなに楽しく遊んだのはいつぶりだろう。
だけど、ちょっとした拍子に脳裏に浮かぶひーの姿。
我ながら……ひどいことしてると思う。
だけど、親友を何年も嫌ってきたあたしの頭は、何が正しくて何が間違っているのか判別がつかないほど、マヒしてしまったみたいだった。
「ねえ、伊沢」
4人で次は流れるプールに向かっていると、後ろを歩いていた高村くんがあたしの腕を掴んだ。
あたしは足を止め、高村くんに向き直る。
「どうしたの?」
「あいつらと別れよう」
「え?」
「はぐれるフリして、二手に別れよう!」
あたしの答えなんて聞かずに、高村くんはあたしの手を引いて、前を歩く香波ちゃんたちと反対の方向に走りだした。
「えっ……高村くん!?」
香波ちゃんたちは、あたしたちに気付くことなく歩き続け、次第に人混みに飲まれて姿が見えなくなった。