やっぱり、こんなとこ来るんじゃなかった。
今更ながら、あたしはめちゃくちゃ後悔していた。
「ねえ、君可愛いねー」
「俺たちと遊ぼうよ」
そう言ってひーの肩を抱く、見知らぬチャラ男。
あたしなんて見えてないのか、あたしを押し退けてひーに近づくから、むかついてしまう。
プールというのは、肌の露出があるからかこんなふうにナンパされたりすることが多い。
ひーは可愛いから特に。
だけど、二人一緒に歩いているのに、男たちの甘い言葉はいつもひーにだけ向けられる。
こんなところでも、あたしがひーに劣っていることを思い知らされて、まだ1時間も経っていないのに、すでに帰りたい気持ちでいっぱいだった。
おろおろしながら、助けを求めるようにあたしに目を向けるひー。
……声かけられたのはひーなんだから、自分で何とかすれば?
言っとくけど、あたしはそこまで優しくない。お人好しじゃない。
嫌いな人を助けてあげられるほど、心の綺麗な人間じゃないのよ。