教室に戻ると、ひーが一番に駆け寄ってきた。
「はる、どこ行ってたの?いきなり出てっちゃうからびっくりしたよ!」
「うん、ごめん」
「高村くんがはるを捜しに行ったみたいだけど、会えた?」
ドキッ、と心臓が大きく跳ねる。
高村くんの名前を聞くと同時に、頭の中でさっきの出来事がよみがえってしまう。
条件反射で真っ赤になる顔。
ひーには見られたくなくて、あたしは慌てて両手で頬を覆い隠す。
「? どうしたの、はる?」
あたしの異変に気付いたひーが、顔を覗き込むようにして問いかけてきた。
「な、何でもない!あ、あたし……制服に着替えてくるね!」
更衣室へ向かおうと教室を一歩出ると。
「あっ……」
ちょうど戻ってきた高村くんと、グッドなのかバッドなのかわからないタイミングで出くわした。
「あ、えと……伊沢……」
「高村くん……」
何となくお互いに気まずくて、思わず視線をそらす。
横目で高村くんを見ると、あたしと同じように、顔を真っ赤にして戸惑っていた。