「伊沢って面白いな!」


「そうかな……?」


別に普通だと思うけど。


「これからは俺が、伊沢のこといっぱい褒めてあげるよ」


「え……」


あたしの頭をぽんぽんと撫でてから、柔らかく笑う高村くん。


「伊沢の照れた顔、もっと見たくなっちゃったし」


いたずらっぽく言ってから、高村くんがあたしの手を握った。



「伊沢はさ、中里の引き立て役とかじゃないんだぜ。伊沢は伊沢っていう一人の人間なんだ。だから、そんな遠慮してないでもっと自分を主張してけよ」



高村くんの言葉と、握られた手から伝わる体温は、あたしの冷えた心を優しく温めてくれた。


思わず笑みがこぼれ、ひねくれたあたしでもこの時ばかりは素直になることができた。



「ありがとう、高村くん……」



感謝の気持ちをストレートに表すと、高村くんは一瞬驚いたように目を見開いて。


それから照れ臭そうに頭をかきながら、あたしから視線を逸らした。



「伊沢……可愛すぎ」



不意にそんな言葉が聞こえたかと思うと、ふわりと身体を引き寄せられた。