どうすればいいかわからなくて、何故かとっさに教室を飛び出してきてしまった。


自分が一体何をしたいのか、自分でもまったくわからない。


結局、最上階の踊り場にやってきたあたしは、どうしようもなくて座ったままぼんやりとしていた。


どうしよう……。
いきなり飛び出してきちゃったもんだから、なんだか教室に戻りずらい……。

しかも衣装のまんま……。
ああ、どうしよう……。



「──いーざわっ」



軽い声に呼ばれ、あたしは反射的に顔を上げた。


優しい笑顔を浮かべた高村くんが、そこに立っていた。



「……高村くん」


「急に出てっちゃったかと思えば、こんなとこにいたのかよ……。つか何やってんの?」


「特に何も……」


つぶやくあたしの隣に、高村くんがそっと腰をおろす。


「なんか……あんなふうにみんなに褒められたの初めてだったから、どうしたらいいかわかんなくて……」


あたしが言うと、高村くんが声を上げて笑った。