「うん。めっちゃ可愛いよ、伊沢さん」
「すごい似合っててびっくりしたよー」
高村くんに答えるように、みんなが口々に感想を言い始めた。
女子も男子も……みんながあたしを褒めてくれた。
「うん、はる超可愛いよ!」
もちろん、ひーも。
とびきりの笑顔で頷いてくれている。
なんだか初めて、あたしを認めてくれたような気がして……。
「あ、ありがと……!」
涙が出そうなほど嬉しかったけど、同時に恥ずかしさも込み上げてきて、気付くとあたしは教室を飛び出していた。
「えっ!? 伊沢!!」
高村くんがあたしを呼び止めようとしたけど、その声はあたしには届かなかった。
もしかすると、高村くんにつられてみんなも可愛いって言ってくれたのかもしれない。
あたしはひーの親友だから、悪いことは言えなかっただけなのかもしれない。
だけど、お世辞さえ言われたことのなかったあたしにとっては、最高に嬉しかったんだ──。