──これを着たところで、ひーに勝てるわけでも何でもない。
あんなの高村くんだけしか思ってないんだから。
だけど、嬉しかった。
だから……お礼として、衣装を着てみることにした。
その結果。
「い、ざわ……?」
着替えたあたしを、高村くんが唖然とした様子で見つめる。
クラスのみんなも、口を開けたままぽかんとしていた。
ほら……やっぱ、あたしなんかが可愛くなんてなれない。
占い師だからって、いきなりこんなの着たから、みんな引いてるんだ。
俯いて、すぐに制服に着替えようと思った時。
「伊沢っ……超可愛いっ!!」
無邪気な笑顔で、高村くんが叫んだ。
そしてあたしの両手を握る。
「顔上げなって、伊沢!めちゃくちゃ似合ってっから!」
「そんなっ……絶対変だよ……。みんなも引いてるし……すぐ着替えてくる……」
「そんなことないよ! なぁ、みんな!」
高村くんが、無言のままのクラスメートに呼び掛ける。