「伊沢ー、これ着てみて!」
高村くんが掲げた占い師の衣装を見て、あたしは思い切り顔をしかめた。
夏休みのほぼ毎日、うちのクラスは文化祭の準備を行っている。
家にいてもやることなんてないし、何かやってたほうが何も考えないで済むから、あたしも毎日準備に参加していた。
教室のおおまかなレイアウトのアイデアはすでにできていて、2学期になればすぐに作業を開始させることはできそう。
桜さんや相沢くんをはじめ、うちのクラスの団結力のすごさに、あたしは少しびっくりした。
そして今日は、それぞれのグループで占いの予行演習みたいなものをやることになっていた。
そんな時に、「本番と同じようにやらなきゃ!」と、高村くんがすでに用意されてある占い師の衣装を引っ張りだしてきた。
「やだ。絶対着ない」
「えー、何で?」
何でって……。
「そんな大胆な衣装着れるわけないでしょ!」