死んでしまったら、それも伝えられなくなってしまう。


死ぬなんて考えたくないけど、手術の成功率は低い。
どうなってもおかしくないんだ。


はるを怒らせることにはなってしまったけど、私はこの手紙を書いたことを後悔してない。


私が死んで、何ひとつ言葉を残せなかったことのほうが、私は後悔すると思う。


まあでも、このタイミングで見つかっちゃったのは予想外だったから、ちょっとやらかしちゃったかな。


「……あ」


ふと手紙を見て、最後の文が中途半端で終わっていたことに気付く。


まだ書き途中だったこと、すっかり忘れてた。


あの様子だと、はるはたぶん最後まで手紙を読んでない。


今のうちに書き足しとこう。


えーと、ペンはどこだっけ……。



ベッドまわりをあちこちと探していると、



「おとなしく寝てなきゃダメでしょ」



少し呆れたような顔のはるが、病室のドアのところにいた。


「はる!」