確かに、手術は失敗して私は死んでしまうかもしれない、と考えたことは何度もある。
私だって人間だもん、時には不安になることもある。
だけど、だからこの手紙を書いたのかと聞かれると、私は違うと答える。
私はただ……。
「もういいよ。あたし今日はもう帰る」
「あっ、待ってはる!」
はるが遠くなっていく。
追い掛けたくても、点滴や、身体に繋がれたチューブが邪魔をする。
無情にもドアは閉まった。
閉まる直前に見えたはるの横顔は泣いているように見えた。
「はる……」
ひとりになってしまった。
今日はお母さんは仕事で、病院に来るのは遅くなる。
ひとりになると、どうしようもないくらい大きな不安に押しつぶされそうになるから嫌だ。
少しでもそれを紛らわそうと、私ははるが投げた手紙に手を伸ばした。
あまり綺麗とは言えない自分の字で、綴られていた最初の文字はアルファベット。
“Dear My best friend”