「──…あれ?」



ハッと気が付いて目を開ける。


顔をあげてまわりを見回してみるけど、教室はガランとしていて誰もいない。


あれ?どうなってんだ?


あぁ……確か、6限目が始まってすぐ寝ちゃって……。


……で。


……うそ、もしや学校終わっちゃった!?


まさかと思ってもう一度まわりを見回すけど、さっきと変わらず人影も気配もない。


バッグも置いてある様子はないから、やっぱりみんな帰ってしまったのかもしれない。


「えーっ、うそでしょ〜!みんな冷たいなー。起こしてくれたっていいのにー」


まあ、寝てた俺が悪いんだけど。


「……俺も帰ろ」


ひとりつぶやき、適当に帰り支度を済ませていると、ガラリとドアが開けられた。



「……あ」



伊沢……。


伊沢は、俺の存在にたいして驚く様子もなく、自分の席へと歩いていく。


机の中から筆箱を取り出すと、バッグに押し込んだ。