「高村律です!一年間よろしくお願いしまっす!」


高校2年になった俺は、うきうきしていた。


高2なんて、17歳なんて、人生で一番楽しい時期だ。


クラス替えで友達の輪も広がるし、これをエンジョイしないでどうすんだ。


「男女問わず友達募集中です!俺からもどんどん話しかけちゃうから、みんな仲良くしてください」


新学期恒例の自己紹介を済ませた俺は、清々しい笑顔を残して着席した。


新しいクラスメートはみんな、明るくて優しそうな人ばかり。


学年一可愛くて人気者と有名な、あの中里裕菜がいることもあり、クラスの盛り上がりはすごい。


その中で、ひとりだけ、浮いている女子がいた。



「……伊沢はるひです」



静かな声は、にぎやかだった教室内を一瞬で黙らせた。