三年生の教室は1階にある。
移動教室など、用がない限り上にあがることはほとんどなくなるだろう。
「本格的に運動不足になっちゃうね」なんて笑いながら、あたしとひーは教室に足を踏み入れた。
「いっざわ──っ♪」
と、同時に身体の前側に衝撃が。
突撃されたのかと思ったけど、どうやら勢いよく抱きつかれただけらしい。
こんなことするのは、ひー以外ではあの人しかいない。
「……高村くん」
あたしの……もうひとりの大切な人……。
「ちょっ、何で若干不機嫌なの?愛しの彼氏が今年も同じクラスなんだから、もっと喜んでよ!」
「あ……同じクラスだったんだ」
「ひどっ!」
自分のと、ひーの名前しか見てなかったから気付かなかった。
っていうか、あんまり“彼氏”とか公言しないでほしいんだけど。
「あのさ高村くん、とりあえず離れて?みんな……見てるし」
あー、あんまりそんなキラキラした目で見ないでよ、ひー。
「やーだ!俺、今年は伊沢とイチャイチャしまくることにしたから、一秒たりとも離さない!」
……えー、何だそれ。