桜並木の道を抜け、あたしは学校の目の前まで走ってきた。
今日から三年生。
だというのに、始業式早々、寝坊するなんてあり得ない。
まあ、ギリギリで間に合ったんだけど。
「──あ!はるー!」
先に着いていたひーが、あたしの姿を見つけると同時に大きく手を振る。
たくさんの人混みの中からなんとか抜け出し、ひーはパタパタと興奮冷めやらぬ様子で駆け寄ってきた。
「はる!早く!クラス表見て見て!」
ああ、そういえば三年生になるのだからクラス替えもあるんだ。
人見知りのあたしにとって、クラス替えというものはつらい。
毎年この日はお腹が痛くなってしまう。
ひーに連れられ、人混みを押し分けて進み、貼りだされているクラス表に目を通す。
どうか……良いクラスでありますように!
【3年1組 3番 伊沢はるひ】