──ああ、普通の人が当たり前にできることを、ひーはずっと夢見ていたんだ。
「……ひー」
「えへへ〜。だって、はるのことめちゃくちゃ好きなんだもん♪」
まったく、恥ずかしいことを照れもせずよく言えるなぁ。
しかも、何も知らない人がここの会話だけ聞いたら、大変な誤解を生みそうだぞ。
「まあ……ありがとう」
そんなことを考えつつも、やっぱり嬉しい。
そっぽを向くあたしに、ひーはなおも「えへへ」と笑っていた。
「だからね、私、新しい夢を探そうかなって」
“新しい夢”……。
「進学するとは決めてるけど、どこに行くかは三年生になってからじっくり考えるよ!三年生で、私の新しい夢を探すんだ!」
そう語るひーは、まぶしいほどにキラキラと輝いていた。
「そっか……。
よし、あたしも手伝ってあげるよ。ひーの“夢探し”」
「ほんと!?ありがとう、はる!」
嬉しそうに飛び跳ねて、ひーがあたしに抱きついた。