何故だか、涙が出てきそうになった。
ああ、あの時から決まっていたのかもしれない。
あたしたちが親友と呼べる間柄になることは。
「……はるひ」
「じゃあ、“はる”だね!」
そうだ。
家族しか呼ばないニックネームを、ひーが直感か知らないけど言い当てた。
あたしの“はる”と、彼女の“ひー”というあだ名は、いつのまにか、それぞれの家族とあたしたちだけの呼び方になった。
2人だけの呼び方だよ、なんて約束したわけじゃないのに、他の子が“はる”と呼ぶのも、ひーが“ひー”と呼ばれるのも拒んでいたっけ。
「これからもよろしく!ずっと一緒にいようね、はる!」
ずっと……この先もずっと、一緒にいられるんだ。
「……うん。ありがとう、ひー……」
涙が溢れて、止まらない。
「ひー……大好きっ……」
一体、どれほど泣けば気が済むのだろうか。
ひーの細い腕に抱き締められたまま、あたしは声をあげて泣いた。
ひーの確かなぬくもりが嬉しくて、温かかった──。