外に出たひーは、病院の外観をゆっくりと見上げた。
そして目を閉じる。
ひーは今、何を思っているのだろう。
あたしが病気のことを知る何年も前から、ひーはひとりで病気と闘ってきた。
今日……その長い、長かった闘いに、やっと終止符が打たれる。
思うことはたくさんあるだろう。
あたしが想像もつかないぐらい、たくさん。
「本当に……今までありがとうございました」
美香子さんの言葉は、別れを意味していた。
「先生……本当にありがとう!」
ぎゅっとお医者さんの手を握り、涙をこらえながらひーが言った。
心からの笑顔を残して、あたしたちと、そしてひーは、病院をあとにした。
病院を出て、しばらく歩いたところだった。
「中里──っ!!」
高村くんに似た声がして。
ひーは弾けるように顔を上げる。
そこには、本当に高村くんがいて。
そして、
「今から打ち上げやろーぜー!!」
クラスのみんながいた──。