「……っ、ひー!
目を覚まして……っ!」
あたしのかすれた叫び声が響く。
ありったけの思いを込めて。
ひーが起きて、また笑ってくれるように。
知らない間に涙が溢れて、頬を伝ってはひーの右手に落ちた。
「ひー……!」
あたしの涙が落ちたひーの手を、両手で包むように握り締める。
すると、ピクリと、かすかに彼女の指が動いたような気がした。
そして……
「……は、る……」
「──っ!!」
高い、透き通るような細い声が耳に届いた。
反射的に顔をあげると、ひーが、うっすらと開いた目であたしを見つめている。
「ひーっ!!」
あたしの声で、顔をあげた美香子さん。お父さんと一緒に、ベッドに駆け寄ってくる。
みんなしてひーを覗き込む。それがおかしかったのか、ひーは笑った。
「私は大丈夫だよ」
そう言ったひーは、手術の直後にも関わらず思ったより元気そうだった。
安堵の息をつくと共に、涙が溢れた。
「ひー……ほんとに……よかったぁ……」
床に座り込み、あたしは子供のように声をあげて泣いた。