まるで、折っているのを見た、とでも言うような自信満々の顔で、ひーはあたしに言った。
「少し雑に折ってある。端と端は綺麗に重なってないし、ところどころよれてるし。
でも……すごく気持ちを込めてくれたのが伝わる」
ひー……。
あたしの作った真っ白な鶴を優しく撫でてから、ひーは顔をあげる。
まぶしいくらいの笑顔だった。
明日、手術を受ける人間とは思えないぐらい、ひーは輝かしい笑顔を浮かべていた。
それからひーは、千羽鶴をベッドの脇に飾り、色紙のメッセージを読みふけった。
時にはツッコミどころ満載の言葉に笑い、時には感動的な言葉に涙を流した。
クラスのみんなの、一言一言が心に染みる。
ひーは、みんなから本当に愛されていた。
「みんな……本当にありがとう……」
色紙を胸に抱き、ひーは“ありがとう”をしきりに繰り返した。
「中里さん、今日はそろそろ……。最終検査もございますので」
しばらくすると、綺麗な看護師さんが遠慮がちに病室に入ってきた。