ふたりして泣いていたから、戻ってきた美香子さんがひどく驚いていた。
「あなたたちどうしたの!?」
そう言って、訳が分からないままオロオロしている美香子さんを見ていると、自然と涙は止まっていて。
「……ふふっ、あははっ」
「お母さん……変っ!」
今度は、あたしもひーもふたりして笑いだすから、美香子さんはますます頭を抱えてしまった。
ひーの点滴が終わると同時に、結局やってきた高村くんと田代先輩が病室に顔を出す。
「ひろちゃん!」
ひーの姿を見つけると、安心したように田代先輩は微笑む。
田代先輩、本当にひーのことが大好きなんだな。
先輩が、ひーの病気のことをいつから知ってるのかは知らないけど。
こんなふうになってしまったひーでも、心から愛してくれているのがわかって嬉しかった。
そして、あたしにもまた、こんな汚いあたしを好きでいてくれる人がいる。
「中里、思ったより元気そうじゃん」
隣を見ると、少し呆れたように笑う高村くんと目が合う。
「うん、ひーは負けないよ」
“病気”なんて荷物に、ひーは絶対負けない──。