──ガタンッ……



勢いよく立ち上がったせいで、あたしが座っていた椅子が大きな音を鳴らして倒れた。



「あたしが好きでひーのそばにいるの!高村くんもそれはわかってくれてるし、あたしと同じようにひーが心配だからお見舞いに来てくれてる!」



“中里、早く元気になるといいな”


いつもそう言って笑って。


今日だって……



『大事な親友なんだろ。俺のことは気にすんな。こっちは任せて早く行ってやれ』



あたしだって、ひーに付きっきりで、高村くんを気にしたことがないわけじゃない。


だけど高村くんは、ひーと一緒に笑ってるあたしも好きだからって……いつも笑顔で送り出してくれる。


それなのに……



「そんなこと言わないで……。言っちゃダメだよ、ひー……!」



あたしがすがりつくように必死で言葉を繋げると、ひーは目に涙をためて謝ってきた。



「ごめんね……ごめんなさい、はる……」



あたしも泣きそうになりながら首を横に振る。


ひーも不安なんだ。


手術という壁を前にして、心が臆病になってる。


あたしが支えてあげなきゃ……。