「そういえば、はる、高村くんとうまくいってるみたいだね」


「え……」


しばらくひーとお喋りしていると、話題は当たり前のように恋バナへと切り替わっていた。


「お母さん、お花の水変えてくるわね」


気を利かせてくれたのか、美香子さんが席を立つ。


あたしは、うるさい心臓を落ち着かせながら言った。


「別に……普通だよ」


「普通って何よー」


あたしの曖昧な返答が不満なのか、ひーがぷくっと頬を膨らませる。


前まで憎らしかったひーのこんな仕草も、今は心から可愛いと思えるのだから不思議だ。


「まあ、初デート以来、あんまり恋人らしいことしてないけど……」


何気なく言った事実だった。


だけど、ひーを傷つけてしまっていた。



「それ……私のせい?」



さっきまで楽しそうに笑っていたのに。


ひーがつらそうに顔を歪めている。



「私にばっかり構って、高村くんと遊ぶ暇なんてない……とか?」



そんな……何でそんなこと。


「私が二人の邪魔してるなら、私のことはほっといてくれていいから……」


「──違う!!」