「ひー、来たよ」


放課後、お見舞いに行くと、ひーが嬉しそうにベッドから起き上がった。


「こら!点滴中なんだから、じっとしてなきゃダメでしょ!」


「はぁい……」


美香子さんにどやされ、ひーがしゅんと肩を落とす。


「そうだよ、ひー。寝たままでいいから」


あたしが諭すと、ひーは渋々ベッドに横たわった。


あたしが来て喜んでくれるのは嬉しいけど、ひーの身体に障ると大変だもん。



「今日高村くんは?」


あたしの隣に高村くんがいないことに気付いたのか、ひーが不思議そうに問いかけてきた。


ひーが入院してから、だいたいは高村くんとお見舞いに行っていた。


だけど今日は、高村くんは学校に残ってみんなと鶴を折り続けている。


でも、ひーには内緒。


「今日は用があって来れないって」


「ふーん。先輩も来れないって言ってたんだよね」


田代先輩も、高村くんから話を聞いて、一緒に鶴を折ってくれることになった。


よし、先輩もちゃんと内緒にしてくれてる。


ひーの寂しそうな顔が、少し良心を刺したけど。


ひーのためだもん、我慢我慢。