──香波ちゃんだった。



「みんなで千羽鶴作って、裕菜ちゃんに渡すんです。手術が成功しますようにって」


香波ちゃんが一生懸命訴える。



「俺、賛成」



相沢くんが、右手を挙げた。


「俺もー!」


続いて、高村くんが元気よく「はいはーい!」と手を挙げる。


「でも鶴の折り方わかんない。教えて、浩也〜」


「習うより慣れろ。俺のを見て折り方を学べ」


「何それ!」


高村くんと相沢くんがそんなことを言い合っていると、重苦しい雰囲気に包まれていた教室が、たちまち明るくなったような気がした。


「よーし!じゃあ、さっそく作ろうぜ!」


「私、折り紙いっぱい買ってきますね!」


相沢くんと香波ちゃんに続いて、クラスのみんなが生気を取り戻したみたいに立ち上がった。



よかったね、ひー。


みんながひーのために、時間を割いて鶴を折ってくれるんだよ。



「あれ?伊沢どうしたの!?」


高村くんに言われてハッとする。


いつの間にか頬を熱いものが流れていた。



「ありがとう、みんな……」



あたしは感謝の気持ちを伝えて、心から笑った。