「大丈夫だよ」と返すと、安心したように微笑んでくれるひー。


「それで、今日話したいことってなあに?」


丸い目を向け、少し首を傾げて、ひーのほうから聞いてきた。


一瞬、身体が強ばったのがわかる。


あたしは自分を奮い立たせ、深呼吸をしてから単刀直入に言った。



「ひーの病気のこと、全部聞いた。田代先輩に」



──長い沈黙だった。


目を見開いたまま、あたしを見つめるひー。


怒るのか、それても泣き出すのか。


「全部……全部聞いたよ」


なんだか泣きそうになってくる。
それを必死でこらえながら、先にあたしが沈黙を破った。



「何でひーは……今まで黙ってたの?どうして言ってくれなかったの?」



問いかける声が震えて、段々小さくなっていく。


ひーが聞き取れたかなんてわからない。



「──先輩も……高村くんまで来てくれたんだね」



ひーは、怒ることもせず、泣くわけでもなかった。


ただ、自嘲ぎみに俯いている。



「ダメだなぁ、私。みんなに迷惑かけたくないから黙ってたのに」