「美香子さん。すみません、ひーと……ふたりきりにしてもらえませんか?」


美香子さんだって、せっかくひーが目を覚ましたんだからそばにいたいはず。


だけど……あたしはひーと向き合わなくちゃいけないから。


「どうか……お願いします」


あたしの真剣な様子から察してくれたのか、美香子さんは微笑んで頷いてくれた。


「さあ!男共、女のないしょ話を立ち聞きするなんて野暮よ!さっさと出て、おばさんにコーヒーでも奢ってちょうだい!」


高村くんと田代先輩を追い出し、美香子さんも廊下に出る。


昔と全然変わらない美香子さん。
そのことが、あたしを安心させた。


「え!中里のお母さんって、こんなキャラなの?」


「こんなんで悪かったわねー!」


豪快な笑い声が聞こえなくなると、あたしはひーに向き直った。


「ふふっ。お母さんってば〜」


楽しそうに笑うひー。


あたしが話を切り出せば、この笑顔は消えるのだろうか。


「そういえばごめんね、はる。せっかく家に来てくれたのに、こんなことになっちゃって」