──心臓に疾患を抱えながら生まれた、ひー。


今ならわかる。


幼稚園や学校を、ことあるごとに休んでいたのも。


運動会や体育祭は、きまって疲れない競技しか出なかったのも。


体育の長距離走やマラソン大会は必ず休んで、クラスの子にやっかまれた時も。


『ごめんね』


と言いながら、ひとりで病気と闘ってた。


あたしはずっとそばにいながら、支えてあげるどころか、そのことに気付きもしなかった。


気付こうともしないで、嫉妬して、ひどいことを言って……。



「ったし……最低だ……!」



泣く資格なんてない。
むしろ泣きたいのはひーのはず。


それでも、ひーは、いつもあたしの隣にいて。



ずっと笑ってくれていた──。




「ひー!」


勢いよく病室に戻ってくると、ひーが目を丸くしてあたしを見た。


「はる!」


目を覚ましたひーは、思ったよりも元気そうで、本当に病気なのか疑いたくなった。


病気だなんて認めたくない。


でも、あたしはもう逃げないって決めたんだ。