──そういえば、田代先輩ときちんと話すのは久しぶりかもしれない。
そんなことぐらいしか考えられなかった。
先輩の言葉が信じられなくて。
「何言ってるの!ひーは元気だよ!昔から明るくて元気いっぱいで、悪いとこなんかひとつも……っ!」
「伊沢!落ち着け!」
先輩に掴みかかりそうな勢いで怒鳴り散らす。
そんなあたしを、高村くんが慌てて止めてくれた。
嘘だ嘘だ嘘だ。
ひーがいつ死ぬかもわからない身体なんて……嘘だ。
きっと……誰かが見てる悪い夢なんだ。
だってひーは、
今までそんなこと、一言も言ってくれなかった──。
「初めて知ったよ……。何で田代先輩は知ってて、あたしは知らないの?ひーの……親友なのに!」
苦しくて、胸が張り裂けそう。
「はるひちゃん……」
あたしを哀れむみたいに、先輩が顔を歪ませる。
「……話、続けてください」
「え、でも……」
「いいから!」
先輩にすがりついて続きを求める。
つらくても聞き逃しちゃダメ。
あたしには、ひーとしっかり向き合う義務があるんだから。