あたしと高村くんは、田代先輩に連れられて、病院の中庭にやってきた。


ひーがいつ目覚めてもいいように、彼女には美香子さんがついている。



「さて……何から話せばいいものやら」


先輩が困ったように頭をかく。


あたしたちは、さっき田代先輩に「ひーの病気のことを教えてほしい」と頼み込んだ。


本当はひーに直接聞くつもりだったけど、あんなことになってしまったし、ひーの口から語らせるのも酷だと思った。


だから田代先輩に、すべてを、包み隠さず話すようにお願いしたんだ。


「全部……先輩が知ってること、全部教えてください」


頭を下げるものの、これから聞かされるであろう事実に、嫌な予感しかしなくて怖い。


「……お願いします」


高村くんが先輩を見据えて言う。


無意識に震えていた手を、高村くんが握ってくれた。


「うん、わかった」と、田代先輩が苦笑して。



「ひろちゃんは……心臓に疾患を抱えている。手術しないと……長くはもたないかもしれないんだ」