「手術の成功率は30%だって……」


ひーの弱々しい声が、やけに大きく響く。


待って、どういうこと? ひー。


手術って、ひーは病気なの?


理解できていないあたしにはお構い無しに、ひーと田代先輩の言葉がどんどん入ってくる。


「でも、手術しないとひろちゃんは……」


「しても死ぬ確率のほうが高いんだよ。どっちもどっちじゃない」


──いつのまに、先輩に敬語を使わなくなったんだろう。


混乱しているからか、こんな状況なのにどうでもいいことを考えてしまう。


「俺は……ひろちゃんには生きてほしい。たとえ確率が低くても、手術受けてほしい。ひろちゃんが頑張ればきっと……」


「頑張ってなんて、簡単に言わないでください!」


ひーの怒声がこだまする。
冷たくて、すべてを諦めたようなひーを見たのは初めてだった。


「頑張ってもどうしようもないことだってあるんだよ、先輩。私は、そんな危ない賭けに出るくらいなら、時がくるのを待つほうがいい」


「ひろちゃん……」


しばらく黙っていた先輩は、震えるひーの体を優しく抱き寄せた。