3階の7号室。
確かここが、ひーが入院している部屋だったはず。


扉の脇のネームプレートを確認すると、確かに“中里裕菜”と記されていた。


扉は開いていたから、ノックはせずにあたしは足を踏み入れる。


「ひー、具合は──…」


その先の言葉をとっさに飲み込む、足を止める。
それを見た高村くんも、つられて歩みをやめた。


「伊沢?」


カーテンの隙間から見えたのは、ひーと田代先輩だった。


きっと、先輩もひーのお見舞いに来たんだろう。


どうしよう……。
せっかくふたりきりでいるんだから、邪魔するのもどうかと思うし……。


「今日は帰ろう」


小声で高村くんに言って、カーテンを指差す。


すべてを察した高村くんは、頷いてくれた。


ふたりに気付かれないように病室をあとにしようとした時だった。



「受けるの、手術……?」



田代先輩の低い声が、あたしの鼓膜を震わせた。



“手術”……って何のこと?



高村くんも、信じられない言葉に戸惑っている。



何なの……どういうこと?