気分はすっかり萎えてしまった。


でも、これから高村くんと一緒にひーのお見舞い。


なるべく明るい気分で、玄関に走った。


「高村くん!」


「おう、行こっか」


高村くんの笑顔を見れば、さっきの暗い気持ちはすぐに飛んでいく。



「……何かあった?」


「え?」


歩き始めて少ししてから、高村くんが遠慮がちに聞いてきた。


「なんか無理して笑ってない?」


「あ……そんなことないよ」


高村くん……何でわかっちゃうの。


君はいつも、あたしのすべてを見抜いてしまう。


「本当に大丈夫だよ」


そう言って笑ってみせると、釈然とはしない様子だけど高村くんも笑ってくれた。




学校から病院までは意外と近くて、早く着いた。


ひーの病室を目指す。


ここは病院。
様々な病気を抱えている人がたくさんいる。


きっとみんな、あたしには想像できないほどの苦しみを味わっているに違いない。


子どもの泣き声が、通りかかった病室から聞こえてきて、胸が苦しくなった。