「お前、進路はどうするつもりなんだ」
先生が、あたしの心中を探るような目で問いかけてくる。
やっぱり、呼び出されたのは、進路のことについてだった。
「……まだ決めていません」
あたしは、この前の進路希望調査表を白紙で提出した。
就職するか進学するかさえも決めていない。
このままではダメだってわかってるけど、どうしても新しい道に目を向ける気になれない。
高校を決める時もそうだった。
高校という新しい環境に進むのが嫌で、怖くて、いつまでも志望校を決めることができなかった。
『だったら、私と一緒のところに行こうよ!』
そういえば、ひーに誘われてここに決めたんだっけ。
でも、もうひーに頼るわけにもいかない。
自分で決めなきゃ……。
「せめて就職か進学かだけでも、二年のうちに決めておけよ。じゃないと、三年で泣くことになるぞ」
「……はい」
進路の話は嫌い。
夢も何もないあたしにとって、真っ暗な将来を考えるなんて辛すぎる。
重い足取りで職員室をあとにした。