「ひー!」


あたしは慌ててひーに駆け寄る。


「はる……ごめんね」


「何で謝るの?」


咳をしながら、一生懸命を言葉を繋いでいくひー。


「せっかく高村くんと……。ごめんね……邪魔しちゃって」


あたしは必死で首を横に振る。


謝らないで。
ひーは悪くないんだから。


デートなんてまた今度やればいい。


そんなことよりも、あたしはひーが心配でしょうがなかった。


「いいから。 それよりひー、突然倒れたなんて……どうしたの?どこか悪いの?そういえば、夏休みも体調崩してたよね。関係あるの?」


気ばかり焦って、早口でまくしたててしまった。


それをひーもわかっていたのか、くすくすと笑みをこぼす。


「そんなに一気に質問されても困るよ。どれから答えればいいか迷っちゃう」


「あ……ごめん」


ひーがおどけたように言うから、あたしは「いつものひーだ」とほっとする。


「ちょっと寝不足で目眩がしただけ。なのにお母さんってば、大げさなんだから……」


そしてバカなあたしは、その言葉を信じてしまった。


ひーが無理して笑っていることにも気付かず。