それからは気が動転してしまって、どうやってひーが運ばれた病院までやってきたのか全く覚えてない。


気が付いたら、真っ白な病室の中にいて。


隣には冷や汗を流している高村くん。
そして目の前には、血色のないひーが横たわっていた。


「美香子さん……」


「あ……はるちゃん」


美香子さんが駆け付けたあたしたちに気付いて、俯いていた顔を上げる。


「……ひー、倒れたって……」


ひーの頬に触れてみる。
青白いけど、確かに温もりがあることに安堵した。


「中里、なんかやばいんですか!?」


「あら……あなたは……」


「中里──裕菜さんの友達です!」


高村くんまでもが、ひーを心配して状況の説明を求める。

それが嬉しかったのか、美香子さんは一瞬だけ表情を緩ませた。


「あの、ひーは……」


あたしが言葉を続けようとすると、



「はる──…」



か細い声が、あたしを呼んだ。


それがひーの声だと理解するのに時間はかからず、あたしは美香子さんから視線を移す。


それに応えるかのように、目を覚ましたひーがゆっくりと起き上がった。