お昼ご飯を食べ終え、大きめの公園でのんびりしようか、なんて話していた時だった。
ピリリリリ、と。
携帯が鳴った。
サブディスプレイとイルミネーションは、意外な人物からの着信を知らせている。
【中里美香子】
ひーの、お母さん。
一瞬、電話を出ようか躊躇ってしまった。
心臓がうるさい。
何故だかわからない、でも漠然とした胸騒ぎがした。
きっと……あまり良い内容の電話ではない気がする。
「伊沢?出ないの?」
鳴りっぱなしの携帯をただ持ってるだけのあたしを、高村くんが不思議そうに見つめる。
「あ……うん、出る」
震える指で、通話ボタンを押した。
「……もしもし」
虫のように小さくかすれた声だった。
〈はるちゃん!?〉
あたしとは対照的に、美香子さんの声はひどく慌てていて冷静さを失っていた。
「美香子さん……一体……」
──ああ。
〈ひーが……ひーが倒れたの!!〉
あたしの予想は、どうしていつもこう、的中してしまうのだろう。