公開したての映画を3Dで観た。
3Dって、なんか異常にドキドキする。
SFのアクションだったから、戦闘シーンがたくさんあって、とても迫力があった。
破片などがこっちに飛んでくるような場面では、思わず体を動かして反射的に避けようとしたあたし。
「ははっ!伊沢可愛い」
それを見て、高村くんは楽しそうに笑っていた。
「あー、おもしろかった!」
2時間過ぎの映画が終わり、あたしたちはお昼ご飯を食べにファミレスに入った。
あたしが大きく伸びをしながら言うと、高村くんも笑顔で頷いてくれる。
「でも俺、正直あんま映画に集中できなかったな」
「何で?」
パスタをフォークに巻き付けながら問うと、高村くんは「いや……」と言葉を濁す。
「伊沢を見てるほうが面白かったから」
含み笑いの高村くん。
「何それ、どういう意味?」
あまり良い意味には聞こえなくて、思わずむっとしてしまう。
「可愛いってことだよ」
不意に頭を撫でられれば、さっきまで怒っていたはずなのに気持ちは落ち着いてしまう。
叶わないな、高村くんには。