「なっ……高村くん!?」
何で!?
というか、話聞かれてた!?
恥ずかしくて不可抗力で顔が真っ赤になる。
高村くんがここにいる理由を千春ちゃんに求めたけど、千春ちゃんは答えてくれなかった。
「伊沢先輩。このハルが身を引くんです、律先輩とすぐ別れるようなことになったら、一生許しませんから」
きっと睨み、あくまでも強く怒っていたけど、裏を返せばこう言っていた。
“末永くお幸せに”
「ありがとう、千春ちゃん」
千春ちゃんは一瞬驚いたように目を見開いて顔を真っ赤にしたかと思うと、「ふんっ」と踵を返して行ってしまった。
「伊沢……」
呼ばれて振り返ると、高村くんは立ち尽くしたまま口をパクパクさせている。
「あ、えっと、その……本当、なの……か?」
「? 何が?」
何が“本当”なのかわからず首を傾げると、高村くんは思いっきりずっこけた。
「何がって……」
呆れつつ、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「俺のこと好きって本当なのかって聞いてんだよ!!」