「千春ちゃん……?」
「何で……ハルのほうが律先輩のこと好きなのに!ずっと前から大好きだったのに!何で先輩は……。何で……ハルじゃダメなの!?」
千春ちゃんの言ってる意味がわからない。
“ダメ”ってどういうこと?
だって千春ちゃんは、高村くんに告白してオーケーをもらえたわけで。
「ハルは振られたんです!!」
──全部、嘘だった。
千春ちゃんは昨日、あたしに話をする前に高村くんに告白して振られていた。
いつまでもあたしがはっきりしないから、千春ちゃんは悔しさのあまり付き合うと嘘をついてしまったらしい。
「全部伊沢先輩のせいですからね」
「うん……ごめんね、千春ちゃん」
「謝らないでください。謝るなんて……ずるいです」
「……ごめん、なさい」
それでも謝らずにはいられない。
あたしを強く睨みつけてから、千春ちゃんは何故か「律先輩」と高村くんの名前を口にする。
すると、
「伊沢……ハルちゃん……」
校舎の陰から、高村くんが姿を現した。