翌日、今度はあたしのほうから千春ちゃんを呼び出した。



「何ですか」


少しふてくされたような千春ちゃんの声。


恋のライバルに呼び出されたのだから、誰だって不機嫌にもなる。


それでも……ちゃんと言わなくちゃ。


「あ……えっと……」


だけど、いざとなるとどう話を切り出せばいいのかわからない。


言わなきゃ……言わなきゃいけないのに……。



「……ハル、律先輩と付き合うことになりましたから」



──え……?



時が止まったように感じた。


目の前の千春ちゃんは、まっすぐにあたしを見据えている。
だけどその目は、どこか寂しそうに見えた。


「嘘……」


「嘘だと思うなら、あとで先輩に聞いてみてくださいよ」


そんな……。


高村くん、千春ちゃんを選んだんだ……。


そうだよね、あたしを好きだと言ってくれたのは数ヶ月も前の話。


可愛い女の子に告白されて、心変わりしないほうがあり得ない。


「それで、話っていうのは何ですか?」


千春ちゃんが不敵に笑うから、思わずひるんで「やっぱり何でもない」と言いそうになった。