「ハルは、律先輩のことが好きです」



校舎裏にやってくるとすぐ、千春ちゃんは単刀直入に切り出した。


「……見てたらわかるよ。だから何?」


「伊沢先輩は、律先輩のことどう思っているんですか?」


やっぱり来ると思った。


こんな質問されても、あたしは答えられない。
わからないんだってば……。


「はっきり言ってください!悔しいけど、律先輩はきっと伊沢先輩のことが好きだと思います。あなたはどう思ってるんですか!」


「そんなの……千春ちゃんに関係ないでしょ」


「あります!」


即答だった。

その真剣な顔に、思わずひるんでしまう。


「……ハル、律先輩に告白します。でも、あなたが先輩を好きだというのなら、ハルは引き下がります。告白もしないで、先輩のことは諦めるつもりです」


別に好きにすればいいのに。
千春ちゃんが高村くんに告白したって、あたしは高村くんの彼女じゃないんだからとやかく言う権利はない。


「関係なくないです。あなたは律先輩にキスされた、その時点であなたはハルのライバルなんです」


「なっ……!」