「えへっ、なんかカレカノっぽいですね♪」
自分でやっといて何言ってんだ、小娘。
「え!?ちょ……困るよ、ハルちゃん!」
そんなこと言っといて、まんざらでもないんだろ。
何が“困る”よ。
別にあたしに見られてようが関係ないじゃん。
もう……イライラする。
高村くんが誰と仲良くしてようが、あたしには全然関係ないのに。
このモヤモヤした気持ちは何なの?
「伊沢先輩いますか?」
その日の放課後、再び千春ちゃんが教室にやってきた。
てっきり高村くんに用があるかと思ったら、呼ばれたのは何故かあたしだった。
「……ひー、今日は先輩と帰って」
「あ、うん……わかった」
なんとなく長い話になるような気がした。
「すいません、急に呼び出して。どうしても話したいことがあったんです」
早く帰りたかったのにな。
千春ちゃんはいつになく真剣で、あたしは直感的に彼女が何を話そうとしているのかわかってしまった。
「……人のいないところに行きましょう」
千春ちゃんに導かれ、校舎裏へと向かった。